旬のコントロールだけでなく
出荷量がコントロール出来る事も大きな魅力の養殖ブリ。
天然ブリは回遊ルート変化による不漁、豊漁が話題になりました。
漁時期のズレと回遊ルートの変化について
養殖ブリの安定供給がもたらす
日本食文化の保全についてお伝えします。
■天然ブリの漁獲時期は不安定
天然ブリの旬は冬。
12月や1月が最も美味しくなる時期だと言われています。
産卵を控え体力を付けるために餌を沢山食べているタイミングなので
脂のノリが良く
寒ブリの名前で昔から高く評価されています。
特に富山の氷見は美味しい時期に沢山捕れる事が有名で
氷見の寒ブリとして一大ブランドを築き上げました。
ブランディングの一環として美味しいブリの時期になった事を告知する
氷見寒ブリ宣言を毎年発表してきましたが
2016年は不漁により見送りになり
2014年は例年よりも1ヶ月以上遅く発表は12月末となり苦戦続きです。
一方さらに北上して北海道では鮭の網にブリが入り
異例の大漁で本命である鮭は不漁という話題が
ニュースでも大きく取り上げられています。
価値が高く美味しい時期に採って
旬に合わせた流通をさせたい天然魚ですが
自然相手の事業である以上
完全なコントロールはほぼ不可能であると言えそうです。
■回遊ルートの変化
不漁・豊漁の原因は絶対数の変化ではなく
水温変化による回遊ルートの変化にあると言われています。
ブリは元々
太平洋側と日本海側の二つのルートどちらにも存在する魚ですが
日本海側のルートを通過するブリが津軽海峡を越え
太平洋側から南下している可能性が高く
そちらのルートを選ぶ数が増えているのではないかとする予測です。
深い海にも対応出来る魚なので
日本沿岸から離れた場所を泳いでいるブリも多いでしょう。
水温や海流だけでなく
餌となる魚の総数バランスなど様々な要素が絡み合って変化するので
原因の追究は困難を極めると共にコントロールは不可能。
1970年代の富山ブリ漁低迷のように
大きな波を描きながら自然界の魚達は環境に対応しようとしています。
出荷数をコントロールする事で
安定した供給が出来る養殖ブリの普及は
回遊ルートの変化や不漁年でも食卓や飲食店へ美味しいブリを届け
消費者の魚離れを抑制する役割も果たしているのです。
■養殖ブリと食文化の保全
お正月のブリ・照り焼き・ブリ大根などお刺身以外でも
日本人であれば誰もが口にした事がある料理で親しまれてきたブリ。
旬の時期に旬の魚を食べる事も大切な日本の文化ですが、
美味しい和食・魚料理を食べ慣れている事が食文化保全への第一歩です。
海外ではお刺身・お寿司など和食の流行が続く一方で
日本での和食文化は衰退傾向にあります。
海外で高く評価される食文化を身近に楽しめる環境を長けられるよう
天然・養殖どちらも安定した供給で楽しめる
バランスの取れた流通状態が消費者から望まれています。
旬と漁時期のズレや回遊ルート変化の折には
養殖ブリが市場を支える事で
バランスを保つと共に日本食文化の保全に繋がるのではないでしょうか。
養殖ブリの身質は
加熱調理はもちろんお刺身としても高く評価されています。
価格も年間を通して安定傾向にありますが
天然ブリは漁獲量に応じて価格が大きく変動するのが特徴です。
味の好みに応じて天然と養殖を選ぶ方法がベストですが
我々消費者は価格も加味しながら選択する必要があります。
養殖ブリは脂のノリが良く現代的な料理との相性もバッチリなので
今日の天然ブリは買うのが難しそう…と感じた方は
是非養殖ブリを試してみてください!