養殖ブリの餌も配合飼料の時代へ

養殖ブリも餌による品質の向上が目覚しい品目です。

 

脂が強すぎる、臭みがあるといった過去のイメ ージから

養殖魚だからこんなに美味しい!

と言う意識の普及を目指しているのが

現在のブリ養殖のトレンドになっています。

 

生産コスト・食味・販売価格と

普及に大きな影響を与える養殖ブリの餌についてご紹介します。

 

 

 

■生餌の弱点と環境への配慮

 

魚の体重増加に対して

どの程度の餌が必要になるかを表す増肉係数は

マグロが16前後に対してブリは9前後と

効率はブリの方が高いものの

ブリもマグロ同様、小魚を餌にして成長する魚です。

生きている小魚をその都度漁獲して与え続ける方法は

大規模な事業者が増えた現在

確実な確保とコストの両面に問題があり

餌となる小サバやイワシの取り過ぎによる

生態系の乱れも指摘されるようになりました。

 

餌の獲得を全て自然に頼ると

季節によって品質が大きく異なり

養殖ブリの食べ残した餌が水質の汚染に繋がるケースもあります。

 

家庭の食卓に上らないような痩せた時期の小魚を

大量に与えて大きくするためのカロリーを与えようとしても

ブリが一度に食べられる量には限界があるので

成長に必要な栄養と食べ残しの少ない適切な量

そして魚の身質と食味に与える影響を考慮しながら

出荷までの間、常に安定して与え続けられる餌が必要です。

 

 

上記の問題を解決すべく

現代の養殖では生餌に加えて

人口飼料を使う方法がメジャーになりました。

 

餌質の安定や必要な栄養の添加だけでなく

完成した養殖ブリの香りや脂の乗り具合も調整出来るようになった事で

海外の生食でも評価されるような美味しい養殖ブリが生産されています。

 

 

 

■植物性飼料の研究が進む

 

ブリ養殖に使用されている餌は生餌に加えて

ドライペレットと呼ばれる乾燥した人口飼料と

しっとりとしたモイストペレットを使い分ける方法が主流です。

どちらの人口飼料も

自然界で摂取する機会の多いアジやイワシを原料とし

成分の調整を行って製造されています。

 

魚が口にする餌の栄養をコントロール出来るようになった事で

不必要に与える機会が減少し、食べ残しが減少し

海に餌が流れて無駄になるケースも減少しました。

 

 

ドライペレット・モイストペレット

どちらもつなぎとして小麦粉など植物性の原材料を

使用している事も大きな特徴です。

 

マグロ・ブリの養殖事業の規模拡大に伴って

価格高騰が懸念されている

生餌・魚粉・魚脂の含有量を減らす事で

生産コストの改善を図るだけでなく

食味の改善にも繋げようという働きが話題になっています。

 

 

 

■美味しい養殖ブリを目指して

 

養殖ブリに与える餌を通して

脂のノリが強い現代風の食味だけでなく

色落ちを抑えて製品価値を高める工夫や

生魚を食べ慣れていない方も美味しく食べられるよう

臭みを抑える人口飼料の開発が進んでいます。

 

これから時間を掛けて植物性の飼料を好む世代を作れれば

生産コストはさらに改善されていくでしょう。

 

味をコントロール出来る事で

消費者の好みに合わせて

脂の乗りや風味がコントロールされた

養殖ブリが和牛のように普及するかもしれません。

 

餌の研究を通して

養殖ならではの美味しいブリ作りが進み

人それぞれの好みに合わせた魚を選んで買うような

時代の訪れが現実味を増してきています。

 

 

 

量・品質ともに不安定な生餌からの脱却に向け

人口飼料の普及は手軽な価格での販売・安定した養殖ブリの供給に

必要不可欠と言えます。

 

自然界でブリが捕食している餌の全容を把握する事は不可能ですが

人口飼料であれば内容をオープンにする事が出来るので

養殖ブリが口にしている餌が気になる方へのアプローチ

海外では当たり前になっている餌を含めたトータルでの

トレーサビリティにも繋がるポイントです。

 

 

安全性の開示された美味しい養殖ブリの普及

畜産業のような形態への移り変わりに

事業者のみならず、消費者からも注目が集っています。

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