クロマグロ養殖だけでなくブリ養殖も海外展開や大規模なブランディングを視野に入れた企業の動きが活発になっています。
蓄養・完全養殖を問わず、非常に高い完成度で国内でも高く評価されているので海外展開でも追い風を待っている状態です。
養殖ブリの海外展開と企業の進出、養殖ブリ事業の規模拡大についてご紹介します。
■集合体として成功する中小事業者
ブリの養殖は現在の形態に落ち着く以前、三谷船具店の所在地である旧引田町の安戸池からその歴史をスタートしました。
ノウハウの蓄積と技術の進歩によってスケールは拡大しましたが、当時の名残から中小規模の事業者による運営がメインで、大規模な転換や仕組み作りは全て関係者の協力により行われています。
マグロやサバでは困難を極めている仕組みの整備を漁協中心に関係者の協力と信頼関係で解決した例もあり、ブリ養殖の最先端として今も活躍中です。
小規模事業主が漁協を介して協力し合いながらクオリティーの高い経営と魚の生産を続ける集合体としての成功は、別事業者であっても注目すべきポイントであると言えます。
■海外市場を視野に入れた大規模な展開
海外への輸出には国内だけでなく相手国からも認可を得る必要があります。
養殖ブリは食品なので衛生面と健康に対する影響のチェックが行われ、日本よりも高い水準での管理が求められます。
日本でも導入の始まっているトレーサビリティは、生産から加工と流通、購入直前までの履歴を消費者が確認できるシステムです。
食の安全性や品質の保証は情報社会では必須であり、インターネット上で確認出来る事がスタンダードになりました。
養殖ブリでは育て方や病気の予防と使用した薬品、加 工場の衛生面に至るまで、相手国基準でのチェックを全てクリアした事業者のみが輸出を許可されます。
この点をクリアするためには最新設備の導入と理解が必要になるため、大規模な事業展開が必要です。
多様な人材の確保だけでなく、ランニングコストも必要になるので生産コストの上昇に繋がりますが、安全性の確認がスタンダードになっている国なら徹底した安全・品質の管理は高く評価され、コストに見合った価格での取引が行われます。
■高度な商業形態と適応
養殖技術の発展と共に魚の養殖は様々な魚種へ拡大し、競争相手となる他魚種や事業者は増加しました。
消費者から見れば価格の安定や品質の向上など、過剰な競争でなければ大きなメリットがありますが、事業者はスーパーだけでなくインターネットや国外への販路の拡大やブランディングなど様々な中間業者との取引が必要になるので、中小規模であっても高度な商業形態への適応が必要になります。
仕組み作りや意思決定、大規模な展開が可能な大企業はこの点で有利といえるかもしれません。
餌となる魚も世界的な需要の高騰によって価格が上昇。
単価を上げるためには美味しい魚を生産するだけでなく、流通方法や知ってもらうための技術にも適応出来るかが大きなポイントになりそうです。
海外向けに匂いを抑える技術が採用された養殖ブリは現在も海外への輸出が行われています。
まだ始まったばかりですが海外での養殖魚輸出は順調な滑り出し、今後のマーケット拡大や追い風となるムーブメントにも要注目です!