養殖ブリは、30年以上に渡るアメリカへのアプローチを筆頭に中国・ヨーロッパでも日本の魚として躍進を続けています。
日本食の材料として価値の高いブランド製の展開も始まりました。
養殖ブリの輸出が好調を続けているポイントを中心に養殖ブリの今と今後の展望についてお届けします。
■サバに継ぐ第2位の輸出量
ブリ類は魚類の中でサバに次ぐ第2位輸出額で、国内輸出魚の中でも大きな割合を占めている重要な魚です。
サバは加工用としての輸出も多いので、単価の良い魚としても大きな意味を持っています。
マグロなど日本人の好む高価な魚は国内での供給が追いつかず、輸入に頼っていた時期もありましたが、研究が進み国内での養殖事業が活性化し、海外へ販路を拡大が始まりました。
ブリは既に海外での本格的な展開を達成しており、味の良い養殖ブランドの海外展開も始まっているので、日本食ブームを追い風にマグロと共に高い関心を集めています。
■主な輸出先は中国・アメリカ
サバの輸出先はエジブトやベトナムがメインであるのに対して、ブリ類の輸出先はアメリカや中国が中心です。
どのような需要があるのかは国の傾向を見れば明らかで、ブリは日本食に関心が高く、中間層から富裕層のニーズによって輸入されていると言えます。
今や寿司、ラーメンといった言葉は様々な国で日常的に使われるようになり、手軽に楽しめる食事から特別な日を楽しむハイグレードな食事まで、日本食は海外の人々に受け入れられるようになりました。
中でも寿司、特に養殖ブリはアメリカでの第一次日本食ブームとも言える昭和60年頃から30年に渡って販路の拡大を地道に続けてきた実績があり、関係者の努力によって少しずつ定着してきた日本の養殖ブリとアメリカの関係は、技術の進歩と共に大きな花を咲かせようとしています。
■海外の好む強い脂と甘さが強み
ブリの海外人気には複数の要因があります。
何故ブリなのか、一番大きな要因は時間をかけて定着させてきたブリ養殖関係者の先見の明であると感じますが、ブリの食味にも大きなポイントがあります。
養殖ブリの持つ脂はマグロのトロと同じく欧米的な嗜好にマッチしており、火を通しても脂の乗りを感じることが出来るので幅広いアレンジが楽しめる事も特徴です。
また甘みを感じさせる独特の風味もブリ類に見られる特徴で、魚や和食が浸透してきた現在であればこちらも楽しめるのではないでしょうか。
ブリはアジアを中心に生息している魚なので、遠くはなれた海外での展開であれば日本の魚としてアピールする事が出来ます。
食味だけでなく、日本料理を食べたい海外の消費者に対してアピール力がある事も大きな魅力です。
ブリは魚の中でも短期間で大きく成長、脂を乗せる事が出来る魚です。
欧米的な食の嗜好が日本でも見られる近年は、脂の乗った魚の価値は上昇傾向にあり、養殖ブリへの注目度もさらに勢いを増しました。
魚臭さを改善する研究が進み、エサに工夫を凝らす手法が国内でも大きな評価を得た今、高い価値を持つブランド魚としてだけでなく、国内同様に大衆魚としての地位確立も期待されています。