養殖されている魚の中で大きな割合を占めているブリ・ハマチ。
安定した価格と品質で外食から家庭の食卓まで、日本の食を支えている魚です。
これまでも、そしてこれからも国内の主要な養殖魚のポジションに位置する養殖ブリ・ハマチの概要や展望についてお届けします。
■ハマチ・ブリは日本を代表する重要な養殖品目
ブリ類は国内海面養殖の約半数を占める生産額を誇る、国内第一位の養殖品目です。
スーパーや飲食店で日常的に目に出来る魚であり、インターネット上では養殖ブランドのブリも数多く販売されています。
切り身での販売から調理済みでの提供まで、長年にわたる養殖業に携わる方の努力でどのお店に入っても目にする事ができるほどの普及率を実現しました。
流通・消費量共に国内トップクラスの魚種なので養殖技術の発達は目覚しく、現代的な脂の強い身質や柑橘類をエサに混ぜて魚臭さを低減させるなど、魚の味に不慣れな方でも美味しく食べられる高い完成度を持った味で出荷が行われ、魚の消費量減少が目立つ中でも多くの日本人に受け入れられています。
■現在は畜養による生産が主流
魚の養殖方法には稚魚を生簀で大きく育てる畜養と卵から孵化までを行う完全養殖があります。
ブリ類はどちらの方法でも養殖・出荷が行われている魚ですが、現在は畜養が主流です。
モジャコと呼ばれるブリの稚魚を扱う専門の業者も存在し、病気に対する予防や水質・栄養を管理しながら大切に育てられます。
出世魚であるブリのひとつ前の段階、40cm前後からの成長段階をハマチと呼びます。
モジャコからハマチまでの畜養での中間育成で出荷していた時期もありますが、現在は80cm以上となるブリまで育てての出荷が主流になっています。
天然物と養殖物の価格が近い事も大きな特徴で、当年の漁獲量・天候状況や時期にも大きく左右されますが、養殖物の方が高い価格のタイミングもあり、どちらも消費者から固有の良さが認められ需要が安定していると言えそうです。
■完全養殖ブリの流通もスタート
マグロの時にもお話させて頂いたように現代の魚養殖は天然資源の保護や文化の継承といった側面も強く、研究と新しい技術を使って日々進化を続けてきました。
大型魚の養殖が国内外を問わず広く普及していく中でエサとなる魚の減少や採算性の改善、水質の保護には人口飼料の開発、畜養のための稚魚減少には完全養殖を使って現在も未来を見据えた養殖事業の発展を目指しています。
完全養殖のブリ類は2016年頃から流通をスタート。
まだ日の浅い事業ではありますが、マグロ同様に完全養殖を武器とした自然界では不可能な生産から消費までの追跡性(トレーサビリティ)による安全面での優位を活かしたブランディングを進めています。
養殖である事の強みを引き出した現代の養殖ブリ・ハマチは、天然物に勝るとも劣らないレベルにまで来ています。
スーパーや飲食店で選択出来る機会があれば、ぜひ安心・安全・高品質の養殖ブリ・ハマチを実際に口にしていただき、天然物との味比べに思いを馳せてみてください。