2014年頃から急速に市場の拡大が始まったふるさと納税市場。
養殖マグロも地元からの返礼品として人気を集めています。
利用価値の高い制度ですが、急激な過熱ぶりを懸念する声もあります。
今後の市場規模の予測、マグロ返礼品で成功している地方自治体、そして登録事業者について今後の展望を交えてお届けします。
■総額2000億円か、ふるさと納税の市場規模
ふるさと納税は、都市部に住む納税者がふるさとの為に自由意志で納税先を決める事が出来る制度として誕生しました。
現在は住民税控除を目的としたショッピングとして、付加価値の付いた製品の販売方法として人気があります。
返礼品競争も過熱の一途を辿っており、大手イーコマースサイトでも食品の上位はふるさと納税関連製品が名を連ねています。
2014年は390億円だったふるさと納税は制度の見直しをきっかけに各種メディアがお得情報として取り扱いを始め、2015年には1600億円まで急成長しました。
2016年には2000億円を超え、2017年度は3000億円規模になるとの予測もあります。
自由に寄付を行う制度なので、人から人へ規模は拡大の一途を辿っています。
全ての納税者が最大額まで控除をすると2兆円近くにのぼるそうなので、まだまだ市場規模の拡大は続きそうです。
■マグロとふるさと納税 実例紹介
養殖マグロは高知県を中心に長崎県や和歌山県で人気を集めています。
マグロであれば刺身向け、練りタタキマグロのセットを1万円の寄付で1.5kg程度と通常販売されている製品よりもインパクトを重視しボリュームのある製品が多い事が特徴です。
大トロ、中トロはセットで3万円~5万円の寄付に対する返礼品としてラインナップされています。
長崎県松浦市では養殖本まぐろの解体実演が話題を集めました。
200万円と非常に高額ですが、これまでに数件の申し込みがあったそうです。
各種メディアにも体験の提供として取り上げられているので、広告効果は非常に高かったと思われます。
大トロと中トロのマグロ丼のセットや刺し身向けの製品が人気です。
高知県室戸市もマグロの返礼品で成功している町です。
土佐おとめマグロのブランドでカマや刺し身向けの製品がとても人気です。
本州で最も人口の少ない町でありながらマグロを中心に返礼品を紹介するメディアに度々登場しています。
ふるさと納税で成功している市町村の多くは登録されている返礼品の品数が豊富で自治体担当者の熱意に溢れています。他の製品を目的にやってきたユーザーにも美しい養殖マグロの刺身をアピールする事が出来るのです。
静岡県焼津市では取り扱い返礼品全国一位としてカニやビールに並んでマグロが人気です。
地元商工会が認定ブランドを立ち上げマグロ加工食品の詰め合わせセットで大手イーコマースサイトのグルメ大賞を獲得しました。
取り扱い製品が増えると同じカテゴリー内での競争も起きますが、返礼品のリスト化による相乗効果がより大きいと言えそうです。
■ふるさと納税返礼品登録事業者について
申し込みは市町村で随時募集が行われています。
取り扱いは民間のふるさと納税製品取り扱い事業者に委託されており東京の株式会社さとふるはYahoo!JAPANとの提携で話題になりました。
ふるさと納税の活用には市町村の協力が必要になりますが、在庫管理や配送手配、インターネットショップ運営の知識が無くても始められる段階に成長しています。
このまま順調に市場が拡大すれば当然競争も激しくなります。
ふるさと納税の返礼品が人気を集めているのは住民税控除の付加価値だけではないのです。
ふるさと納税は自治体の決定で予算が組まれ買い取りや販売が行われるので変化の対応に遅れた市町村が急激に次年度の予算縮小を行うのではないかと懸念する声もあります。
市場の成熟に伴い、自治体が変化に対応する事が出来るのか、事業者は注視が必要です。