完全養殖のクロマグロが日本の食卓へ

 

海外での需要が高まった事で国内への供給や天然資源の枯渇が問題視されている日本食代表のクロマグロですが、日本の技術力による問題解決への明るいニュースが話題になっています。

国内向けに完全養殖・人口飼料生産の養殖クロマグロが本格的に出荷され、今後も生産数を増やして安定的な供給を目指す内容です。

美味しいマグロがまた身近な存在になるかもしれません。

 

 

 

■完全養殖クロマグロの普及

 

現在メインとなっている養殖クロマグロの生産方法は、蓄養と呼ばれる方法で捕獲したクロマグロの稚魚・ヨコワを生簀に放ち、小魚を与えて成長させる方法が一般的でした。

当然、孵化は自然の中で行われるのでヨコワの確保は天然資源に頼っているのが現状です。

自然の中で成長させるよりも大きくより確実に育てる事が出来ますが、資源回復のために規制がかかる可能性があり、供給が不安定でコストの目処が立ちにくい弱点がありました。

蓄養を用いてクロマグロを成長させるために必要な技術の蓄積が実を結んだ現在、次のステップはクロマグロの稚魚となるヨコワを天然資源のみに頼らず、人工孵化によってクロマグロ全体の総数を引き上げ安定した供給を目指す事です。

 

各研究機関がこの目標に向けて努力を続ける中、完全養殖の成功のみならず次世代の完全養殖にも成功し、数を増やす事で安定した供給と規模を拡大する目処が立ったとの発表がありました。

天然に負けない美味しいクロマグロを日本の家庭に届ける事を目標に数十年の努力を続けた完全養殖クロマグロが今、本格的なスタートを切ろうとしています。

 

 

 

■完全養殖・人口飼料で生産した養殖クロマグロ

 

生エサを好むクロマグロは小魚と人口飼料の2種類のエサを与える事で成長をコントロールし、蓄養後、養殖クロマグロとして出荷されてきました。

人口飼料は成長を助けるための栄養をバランス良く含んでいますが、クロマグロは気に入らないエサを積極的に食べようとしないので複数のエサを用意していたのです。

人口飼料は食べ残しが少なく水質汚染を減らせる事、天然資源に頼らず安定して確保できる事、与える栄養をコントロールして品質を高める事など様々なメリットがあり、クロマグロが好む人口飼料の開発は養殖クロマグロ事業の発展において欠かすことの出来ない需要な要素のひとつでした。

 

人口飼料は天然資源の小魚に比べ、クロマグロの成長に合わせた配合やサイズのコントロールも容易です。

今話題になっている完全養殖クロマグロは、人口飼料のみで育てる事にも成功した未来的なマグロです。

天然資源の回復や食文化としてのマグロを守る意義も持っています。

 

 

 

■2017年冬本格的な出荷をスタート

 

2017年冬、完全養殖・人口飼料生産の養クロマグロが市場への流通を開始します。

人口飼料を使用している事で年間を通して安定した食味・品質を維持しており、一度は食べてみたいと思わせる話題性も十分です。

完全養殖・人口飼料を使った養殖クロマグロは、消費者にとっても身近な一般のスーパーや外食店で楽しむ事ができます。

 

 

人口飼料を使った大規模な生産が成功した事で事業としての可能性も大きく発展し続ける養殖クロマグロ。

今後、国際的なクロマグロに関する規制や国内のヨコワに関する規制が強まったとしても、完全養殖によるヨコワの確保によって発展を続けていく事ができます。

 

天然・蓄養・完全養殖のクロマグロがバランスよく普及する事で資源の回復と様々な価格帯でのマグロの普及に繋がれば、クロマグロに関する規制緩和へと繋がって行くのかもしれません。

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